2022年8月29日~9月11日までの日程で開催されたテニスの4大大会の一つである全米オープン。今大会最も注目された選手は、女子シングルス優勝のイガ・シフィオンテク選手でもなく、男子シングルス優勝のカルロス・アルカラス選手でもない、元世界女王のセリーナ・ウィリアムズ選手ではないでしょうか。今回の全米オープンを最後に引退を示唆していたセリーナ・ウィリアムズ選手を一目見ようと、ビル・クリントン元大統領やマイク・タイソン夫妻など多くの著名人が会場のアーサー・アッシュ・スタジアムに駆け付けました。また、アメリカのスポーツ専門チャンネルであるESPNによると、セリーナ・ウィリアムズ選手が敗れた試合の瞬間最高視聴者数は過去最多を記録したとのことです。
そこで今回は、長きにわたり女子テニス界を牽引してきたセリーナ・ウィリアムズ選手のプロフィールや経歴、数々の記録や総資産についてまとめてみました。
セリーナ・ウィリアムズ選手のプロフィールや経歴
- 国籍:アメリカ合衆国
- 生年月日:1981年9月26日
- 年齢:41歳
- 出身地:アメリカ・ミシガン州サギノー
- 身長:175cm
- プロデビュー年:1995年
- ツアー通算:96勝(シングル73勝/ダブルス23勝)
- 生涯獲得賞金:USD94,618,080(日本円で135億円以上)
1990年代
1998年、まずは混合ダブルスでウィンブルドンと全米オープンので2大会で連続優勝を飾ると、1999年の全米オープンの決勝でマルチナ・ヒンギスを破り、17歳11ヶ月の若さで4大大会初優勝を成し遂げます。
2000年代
しばらくは姉・ビーナス・ウィリアムズ選手の活躍が目立ちましたが、2002年の全仏オープンから2003年の全豪オープンまで4大会連続で決勝は姉妹対決となり、その時はセリーナ・ウィリアムズ選手が4連勝を挙げました。(4大大会の4連勝はシュテフィ・グラフ選手以来6人目)
2006年は故障のため出場機会が減りましたが、2007年の全豪オープンではノーシードで勝ち上がり、決勝ではマリア・シャラポワ選手に完勝。全豪オープンの女子シングルスでノーシードからの優勝は、1978年のチャンピオンであるクリス・オニール選手以来の快挙です。
2010年代
2010年の全豪オープンとウィンブルドンでも優勝し連覇を達成しましたが、ウインブルドン以降は故障による欠場が続き、世界ランキング1位の座を明け渡すことになります。
2011年は足の故障や肺塞栓症による入院も重なり、シーズン前半は全く試合に出場できず、ウィンブルドンの前哨戦から復帰しますが、女子テニス ランキング12位でシーズンを終えました。
2012年はウィンブルドン優勝、またロンドンオリンピックでもシングルス、ダブルス共に優勝し、シングルスでの生涯ゴールデンスラムを達成。そして、男女を通じて史上初のシングルス、ダブルスのゴールデンスラム達成者となりました。その後も2013年にはダブルキャリアグランドスラム達成、2014年には全米オープン3連覇を果たすなどの活躍を見せましたが、2016年12月にかねてから交際していたredditの共同創業者でもあるアレクシス・オハニアンさんと婚約。2017年は妊娠によりツアーを離脱することとなりました。産後は2018年にツアー復帰を果たすと、2019年には世界ランキングトップ10復帰も果たします。
2020年代
2020年始めのハイネケン・オープンでは出産後初、2年ぶりのツアー優勝を飾ります。しかしその後は新型コロナウィルスの影響でツアーが中断することとなり、再開後の大会でも優勝までには至らずで11位でシーズンを終えます。
そして2022年、全米オープンを最後に引退の意向を発表。世界ランキング605位で臨んだその全米オープンでは惜しくも3回戦で敗退となりました。
セリーナ・ウィリアムズ選手が残した輝かしい記録
セリーナ・ウィリアムズ選手はこれまでに数々の歴代記録を更新してきました。下記以外にも過去にWTA歴代最年長のナンバーワンプレイヤーとなったり、グランドスラムでの39回の優勝は男女を通して歴代3位の記録、またシングルスでの23回の優勝は歴代2位ですが、オープン化以降では歴代トップ。また、姉・ビーナス・ウィリアムズ選手と組んだダブルス優勝回数はペア歴代3位など、セリーナ・ウィリアムズ選手は女子テニス界のレジェンドとも言える選手なのです。
グランドスラム記録
グランドスラム記録 | 他記録者 |
キャリアゴールデンスラム | シュテフィ・グラフ |
シングルス・ダブルス両方でキャリアゴールデンスラム | 単独記録 |
30歳代でグランドスラムシングルス優勝 | 単独記録 |
30歳代でシングルスキャリアゴールデンスラム | 単独記録 |
30歳代でグランドスラム優勝「10回」 | 単独記録 |
ハードコートグランドスラム優勝「13回」 | 単独記録 |
ダブルスの全4大大会とオリンピックで2回以上優勝 | ビーナス・ウィリアムズ |
グランドスラム4大会連続優勝(セリーナスラム) | 単独記録 |
グランドスラムシングルスで20年中10大会優勝 | 単独記録 |
2つの年代でシングルス4大大会すべて優勝 | マーガレット・コート シュテフィ・グラフ |
3つの年代でグランドスラムシングルス優勝 | ブランチ・ビングリー マルチナ・ナブラチロワ |
グランドスラムダブルス決勝14連勝 | ビーナス・ウィリアムズ |
トリプルキャリアグランドスラム(シングルス) | マーガレット・コート シュテフィ・グラフ |
シングルス・ダブルス両方でダブルキャリアグランドスラム | マーガレット・コート マルチナ・ナブラチロワ |
3大会で6回優勝 | 単独記録 |
4大会すべてで60勝以上 | 単独記録 |
グランドスラム各大会記録
大会名 | グランドスラム記録 | 他記録者 |
全豪オープン | 最多優勝「7回」 | 単独記録 |
全豪オープン | 最多決勝進出「8回」 | 単独記録 |
全豪オープン | ノーシードで優勝(シングルス) | クリス・オニール |
全仏オープン | 初タイトルと最新タイトルが13年間 | 単独記録 |
全米オープン | 最多優勝「6回」 | クリス・エバート |
全米オープン | 1セットも落とさずに優勝「3回」 | クリス・エバート |
全米オープン | 3つの年代でシングルス優勝 | 単独記録 |
全米オープン | 最初と最後のタイトルが15年間 | 単独記録 |
全米オープン | 全米オープンシリーズ複数回優勝 | 単独記録 |
セリーナ・ウィリアムズ選手の総資産はどれくらい?
生涯獲得賞金は9000万ドルを超え、これは全ての女子プロスポーツ選手を含めて史上1位の金額です。フォーブスが調査した総収入においても2016年から19年までの4年間は女子アスリートのトップに君臨。2019年のフォーブスが選ぶ「米国セルフメイド富豪女性」にアスリートとして初めてランクインし(80位)、その当時の純資産は推定2.25億ドルと言われています。
また、こちらもフォーブスに調査となりますが、2022年最も稼ぐテニス選手ランキングのトップ10でセリーナ・ウィリアムズ選手は3位にランクイン。昨年の全米オープン以降の推定年収は3510万ドルで、そのうちの3500万ドルがスポンサー収入や出演料、ライセンス収入など、コート外で得た収入とされています。選手としての全盛期が過ぎてからもこれだけ稼ぎ続けるセリーナ・ウィリアムズ選手。これまでにどれだけ偉大な功績を残してきたかがわかります。
ウィリアムズ姉妹を育て上げた父親の伝記映画『ドリームプラン』
- 原題:King Richard
- 配球:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ
- 公開:2022年2月23日(日本)
- 興行収入:US$ 3940万
史上最強の女子テニスプレイヤーと称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界ナンバーワンプレイヤーに育てあげたのは、テニス未経験で姉妹の父親であるリチャード・ウィリアムズさん。そのリチャード・ウィリアムズさんの実話を基に描かれたのが映画『ドリームプラン』です。ある日、リチャード・ウィリアムズさんはテレビで、優勝したテニスプレイヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿を見たことをきっかけに、自分の子供をテニスプレイヤーにすることを決意。その後、テニス経験が皆無だった彼は、独学でテニスの指導法を学び78ページにも及ぶ計画書を作成しました。アメリカで最も犯罪率が高くギャングがはびこるエリアとして有名なカリフォルニア州コンプトンの公営テニスコートで、様々な問題を乗り越えながら奮闘する父親のもと、姉妹には次第にその才能を開花させていくというストーリー。ウィリアムズ姉妹の幼少期に興味がある方は是非この映画をご覧ください!
映画『ドリームプラン』の主なキャスト
アメリカのドル箱俳優の一人でもあるウィル・スミスさんが主演を務めています。またウィリアムズ姉妹役を演じたのはまだフレッシュな俳優であるサナイヤ・シドニーさんとデミ・シングルトンさんで、本作品をきっかけに注目されるようになり、二人にとって『ドリームプラン』は代表作といえる作品となりました。本作品は第94回アカデミー賞で6つの賞にノミネートされ、ウィル・スミスさんが自身初の主演男優賞を受賞しています。
役名 | 関係 | 俳優名 |
リチャード・ウィリアムズ | ウィリアムズ姉妹の父 | ウィル・スミス |
オラシーン・ウィリアムズ | ウィリアムズ姉妹の母 | アーンジャニュー・エリス |
ビーナス・ウィリアムズ | ウィリアムズ姉妹の姉 | サナイヤ・シドニー |
セリーナ・ウィリアムズ | ウィリアムズ姉妹の妹 | デミ・シングルトン |
リック・メイシー | テニス・アカデミーの指導者 | ジョン・バーンサル |
ポール・コーエン | ビーナスの最初のプロコーチ | トニー・ゴールドウィン |
まとめ
今回は、全米オープンを最後に引退を示唆している元世界女王のセリーナ・ウィリアムズ選手のプロフィールや経歴、数々の記録や総資産についてまとめてみました。ウィリアムズ姉妹が台頭する前は、パワーではなく多彩なテクニックと頭脳的な駆け引きで勝負をするマルチナ・ヒンギス選手が世界の頂点に立っていました。筋肉質ではない日本人の私たちにも真似できるマルチナ・ヒンギス選手のプレーをよくお手本にしたものです。しかし、リンゼイ・ダベンポート選手やウィリアムズ姉妹のパワーテニスの時代が到来し、マルチナ・ヒンギス選手が次第に勝てなくなったのを今も鮮明に覚えています。あれから20年以上経ちますが、ずっと女子テニス界のトップを走り続けてきたセリーナ・ウィリアムズ選手。本当に「凄い」「素晴らしい」の一言に尽きます。数々の偉業を達成してきたセリーナ・ウィリアムズ選手の引退後の生き方もまた注目されるでしょう。セリーナ・ウィリアムズ選手の第2ステージでのご活躍を楽しみにしています。